引越のマナーとルール
引越業はサービス業
お客様の気持ちを運ぶつもりで
お客様から依頼され輸送するのは、荷物だけではありません。思い出も一緒に運ぶということを覚えておいてください。お客様にとっては、一つひとつがかけがえのない大切なものです。
言葉づかいにも気をつけましょう
言葉ひとつでムッとしたり、うれしくなったりしたことはありませんか。お客様に対しては、敬語を使うのが基本です。たとえ、敬語が苦手でも、失礼にならないように気をつけて誠意の感じられる話し方をしましょう。
全体の流れを把握して、動きを知りましょう
安全・確実かつ迅速に
仕事中はすべて、作業責任者の指示にしたがってください。また、前もってお客様との契約内容を確認し、よく理解したうえで、作業を行ってください。
見た目も大事
清潔で、動きやすいことが基本
出かける前に、全身をチェックしましょう。会社の決まったユニフォームや帽子がある人は、いつも清潔にしておくよう心がけてください。
お客様の家に着いたら
まずは、明るい声で挨拶
お客様は「どういう人が来てくれるのかしら」「ちゃんとしてくれるのかしら」と思いながら、到着を待っています。元気なあいさつで、お客様の不安を吹き飛ばしてください。
守りたいマナー
- トイレを借りる時は、必ずお客様の了解を得て清潔に使う。
- 携帯電話などの電源は切っておく。
- たばこは休憩時間に決められた場所で吸う。吸い殻の始末も忘れずに。ガムをかみながらというのもマナー違反。
- 私物のバッグはお客様の家には持ち込まない。クルマの中か、お客様に断って玄関などに置かせてもらう。
- チップや食事は丁寧にお断りする。昼食は、お客様に心配をかけないように必ず用意する。
荷づくり・梱包にあたって
ていねいに心を込めて
- 現金や通帳、貴金属などの貴重品は、必ずお客様自身でお持ちいただくようお願いする。
- 家財の材質、特徴を考えて、適切な梱包を心がける。
- 家財に傷がついていたら、お客様に確認していただき、記録する。
- 家財についている「ほこり」は、きれいに拭きとってから梱包する。
- 高級家具や衣類を扱うときは、白手袋を着用する。
梱包
「角あて」をする
ひもがくいこんで、ひもの跡が家具にしっかりついてしまうといったことがないように、ひものあたるところに「角あて」をします。
家財にテープを直接張らない
テープをはがすときに家具の塗装がはがれたり、あとが残ってしまうことがあるので絶対にしないでください。
家財によっては横倒し厳禁
冷蔵庫や据付型クーラーは、横に倒すと据えつけた後、1日ぐらい安定せず使えなくなったり、フロンガスが抜けることがあります。
パソコンの取り扱いは特に慎重に
ケーブル類は勝手に抜かないように。お客様に相談してからおこなってください。
桐ダンスには、絶対ひもがけしない
高価な品や特殊な荷物は、作業責任者に必ず聞いてからおこないます。
ちょっとした工夫で大きな差
お客様に相談して良いアイデアがあれば、作業に活かしてください。たとえば、 各部屋ごとに荷物を入れた箱に統一番号をつけておきます。リビングの荷物は1の箱に、 寝室は2の箱にというたようにまとめておくとあとで整理する時に楽です。さらに、1の1、2の2…と通し番号をつけてメモをしておくと紛失を防ぐこともできます。
搬出にあたって
基本4原則
「ぶつけない」「落とさない」「引きずらない」「投げない」を厳守すること。
無理は禁物
重い荷物は正しい姿勢で
床からいきなり持ち上げようとすると危険です。片足を少し前に出し、できるだけ体を荷物に近づけて、重心を低くして荷物をかかえ、足を伸ばしながら立ち上がります。
大きい家財は、2人以上で運ぶように
お互いに声をかけあいながら、周りに気をつけて運びましょう。
備えて安心
養生に始まり養生に終わる
マンションなどの場合は、玄関などの共有フロアーやエレベーターも忘れずに養生します。
荷物の搬出入路は前もって広く
ふすまや障子、外せるドアは取り外して出入り口を広くし、床板や壁などを傷つけないように注意。
運ぶ時も置く時も安全第一
階段を使う時は、足元にも気をつけて
階段を使って大きな家具などを2人以上で運ぶ時は、背の高い人が下を受け持ちます。また、階段の踊り場では、家具の前面を外側に向けてまわします。
ワレモノ確認は確実に
ガラス類などの特に気をつけたい荷物は、わかりやすく、よく見える場所に置きます。
搬出時の注意点
搬出はお客様の了承を得てから
お客様との契約内容を確認した後に、どれから運び出すのか、クルマに載せるのかを作業責任者の指示にしたがって搬出を始めます。
最後に、個数、積み残しはないか確認
天袋の奥、台所の流しの下、床下収納、ベランダ、物置、駐輪場など。特に見逃してしまいそうな場所も忘れずに確認します。
積み下ろしは正しい順序でバランスよく
積み込みは、あとの手順を考えて計画的に
会社ごとのルールにしたがって行いますが、普通は
- 段ボール類を奥に、家具類は手前に積むのが原則。絨毯などは最初に出せるようにしておく。
- 背の高い家財は、荷台の外側に積み、ガラス面は外側に向ける。
- 荷物の高さが極端に変わらないように、考えながら積んでいく。また、空き段ボール箱をすき間に入れるなどの工夫をして荷物を安定させることも重要。
- 板ガラス類、衣料、布団などは、破損・濡損に十分注意する。特にガラス類などはクルマから下ろす時に、倒れる事故が多いので要注意。
- 荷台の積み下ろしをする部分は、当てマットなどを厚めに当てて保護する。
安全確認や周りへ気配りも忘れずに
クルマは前後左右をよく見て、安全なことを確認してから動かします。また、搬出先、搬入先では周辺の家に迷惑をかけない場所か考えてから車は止めましょう。
移動中も仕事中
クルマで移動中も気を抜かない
シートベルトと運転する人への気づかいも忘れずにしましょう。
盗難に注意
クルマの外に仮に荷物を置いた場合は、必ずひとりは見張り役に残るようにします。昼食などで荷物から離れる時は、交代で行くように。
搬入時の注意点
壁などにぶつけないように注意
搬入する時は、あらかじめ養生をしてからというのが鉄則。加えて、荷物の運び入れはくれぐれも慎重に。特に、机やイスなど突起部のある家財は、壁などにぶつけると本体そのものにも傷がつくことがあるので十分に気をつけましょう。
大きな家財から運ぶ
やむを得ず小物類から運ぶ場合も、玄関口などには一時にせよ決して置かないようにしましょう。大きな家具などを入れる時にじゃまになります。
解梱は正確に手早く慎重に
解梱は引越し作業の仕上げです
- 解梱は、必ず据えつけ場所でおこなう。
- カッターを使うときには、荷物に傷をつけないように刃は外に向けて使う。
- 資材はむやみにカッターで切らずに、再利用を考えて解梱する。
- ガラス類は、家具を実際の場所に置いてから解梱する。
据えつけも気を抜かず
据えつけの基本
- お客様の要望にしたがって手際よく。
- 段ボール箱は、それぞれの家具の前に置く。
- ガラス類を家具にはめ込むときは、左右を間違えないように。
さぁ、困った!こんなとき
隠さない
事故を起こしたら、すぐ作業責任者に報告します。
そして、お客様に素直に謝りましょう。また家財の傷を発見した場合は、お客様に説明して確認していただきます。大事なことは、二度と同じ事故を起こさないようにすることです。
帰る前にもうひと仕事
作業の後始末と清掃
お客様と契約し作業が終了しても、まだ仕事は終っていません。梱包に使った包装材を片付けて養生材をはずし、家の内外を掃除します。マンションなどでは共有スペースの搬出入場所やエレベータ、階段もきれいにすることを忘れずに。
報告と最終確認
お客様に作業終了の報告をする時に、家財の据えつけ場所に手直しの必要がないか、すべて荷物は搬入されているかなどの最終確認をしてください。また、マンションなどの場合は、管理人さんに作業が無事に終了したことを知らせるためにも、黙って帰るのではなく、ひと声かけてお礼の気持ちを伝えてください。
感謝の気持ちを込めて
全員揃ってあいさつしてください。お客様にいい印象を与える事が最後の仕事です。